労いの言葉

ある地方に遊びに行った時のこと、何回か言った事がある場所でお城があるのは知っていたが、いつでも行けるしいつか行こうと決めていたがなかなか足が向かなかった。

しかし、なぜかその日は行きたい、ぜひ行ってみたい、何故か行きたい気持ちに駆られていた。

今思えば呼ばれるというのはああいう事なのかもしれない。

新幹線の時間を気にしながら城に向かうと復元されたお城で少しがっかりした。

でもまぁどこ言ってもこんなもんでしょと思いながら、他に何かないかと気にしながら歩いていると立札があり城跡から数分歩いた場所に古城跡があるという。

復元された場所より、古城跡と言うから当時そのままの状態が残っている方が風情があってよいから、古城跡を目指して歩いた。

古城跡は高台になっていて、駐車場スペースのような少し開けた場所と、お堂?のようなものが立っていた。

当時そのままの状態が残っているのが見て取れ、とても古いものと言うのは一目でわかった。

印象としては風情のあるお寺の小堂という感じだった。

特に何を感じる間もなく新幹線の時間が近づいてきたので、その場を立ち去ることにした。

駅まで急ぎ足で向かい、無事新幹線の時間に間に合い電車にのり、ある事を思い出した。

それは同じ地域で以前不思議な出来事が起きたこと特別な場所 最強のパワースポット?という記事で書いた場所の事も含めて。

もし本当に前世というものがあって、あの記憶通りに所縁があり、この場所に住んでいたとしたら、あの霊廟にもお参りに行っていたのだろうかと。

でも実際の話、野良仕事をしていたら忙しくて、お参りなんてできなかったのだろうと思った瞬間、「あの頃は忙しかったからねぇ」と頭の中で女の人の声がしたのだ。

え?誰だこれ、誰が話したんだ?と知り合いや共通する人を探そうとしても出てこない、ただ出てきたのは、自分より身分が高い、おそらく自分が使えていた人の奥方なのかそんな感覚だ。

その瞬間、どっと疲れが出たような何かが肩の荷が下りたような、自分の苦労が報われたような、なんとも言えない感覚があり、涙がずっと出続けた。

新幹線の中で一人で中年の男が顔を隠して目を閉じて涙を流しているのは異様だと思いながらも、涙が止まらなかった。

恐らく20分かそれ以上涙を流していた。

新幹線が東京につくまでには収まっていたが、不思議な体験をした。

東京について、朝起きて城に向かう時の心境を思い出してみると、なぜか意味もなく焦って城に行こうとしていた自分を思い出し、あれが呼ばれるという事なのかもしれないと思った。

今もその時のことを思い出すと、なんとも切ないというか、悲しいというか、やりきれない思いが胸に残る。

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